ピラミッドの作り方
説得力のある文章を作るためにはシンプルなロジックを用います。
それが、「帰納法」と「演繹法」です。
①帰納法
帰納法とは複数の特定事象か(前提)から要約(結論)を導くロジック展開です
絶対的に正しい真実ではなく、前提から導かれた「論理的に」正しい推論です。
前提は1つでは論理的にはなりません。5つ以内を意識しましょう。
もしかすると2つの心臓を持つ馬が存在するかもしれませんが、上記は論理的に正しい推論といえます。
前提の数が多ければ多いほど推論の正しさは強まりますが、それでも「推論」です。
絶対に2つ以上心臓を持つ馬がいないとは言い切れないので、推論には入りません。
「同じ種類の考え」を前提とする
馬の例は簡単でしたが、複雑なものになってきた時に困惑しがちです。
そこで意識してほしいこととして、
- 「主部が同じ」
- 「述部が同じ」
- 「意味するものが同じ」
この中で「意味するものが同じ」というものが一番理解しづらいと思うので、図で表現します。
またピラミッドがうまくできているかをチェックするには、「つなぎ言葉」(接続助詞)を使います。
「つなぎ言葉」をメッセージ文の冒頭に入れてみる
- 「なぜそう判断するかといえば」
- 「なぜならば」
- 「たとえば」
- 「具体的には」
これらを書いてみた上で、
①文章の上下のつじつまが合っているか確認し
②下部メッセージ群のつなぎ言葉を見比る
ことを意識しましょう。
このことを踏まえて上の「日本の経済構造」について書き足してみます(つなぎ言葉)
3つともに上下の辻褄が合っているため、ロジックの構成はほぼ大丈夫といえます。
②演繹法
演繹法は帰納法ではなかった、絶対的に正しいことや一般的に正しいことから、妥当と思われる結論を導くものです。
同じく馬のロジックで例を作っていきます
ビジネスの世界では絶対的に正しい前提があまりないので、一般的に帰納法の方がよく使われます。
演繹法がよく使われるのは「過去や現実の事実」(絶対的に正しい)に
「正しい法則」や「妥当な過程」(一般的に正しい)を適用を推測する場合です。
(例)
前提:X事業は今のコスト構造のままでは、売り上げ100億円が損益分岐点になる
X事業は、来期の売り上げはどう楽観的にみても95億円止まると見られる
結論:ゆえに、X事業は、コスト構造の改革に着手しない限り、来期は大幅な赤字になるだろう
前提の第一文は正しい分析(事実)です。第二文も正しい分析(事実と認めてよいこと)といえます。
つまり、第一文、第二文の分析が正しいかぎり、結論も正しいといえます。
ここでチェックすべき項目は「前提」です
-
X事業は今のコスト構造のままでは、売り上げ100億円が損益分岐点になる
→本当に正しいと言えるか?
→はい。この分析には疑問の余地がありません。 -
X事業は、来期の売り上げはどう楽観的にみても95億円止まると見られる
→本当に正しいと言えるか
→はい。これも疑問の余地がありません。
ゆえに、X事業は、コスト構造の改革に着手しない限り、来期は大幅な赤字になるだろう。
この帰納法・演繹法と一緒にピラミッドを作るコツを3つ意識しながらピラミッドを一つ下に表現します
- 一つの考えを短く明快に
- 主メッセージとキーラインを早めに決める(キーライン:下図のABのような主メッセージを直接指示するもの)
- ピラミッド内で文書を書かない
練習一択
これを1日1回×4ヶ月続けられると、ピラミッド構造が頭に染み付きます。
今日書いたメールや文書のうち、なるべく中身のあるものを1つ選び、10分で簡単なピラミッドを書きます。
ここでのルールとして
①ピラミッドは簡単に
②OPQを書き留める
③10分以内で終わらせる
例を挙げておきます。
最初から複雑なピラミッドを書かなくても大丈夫です。
徐々に染みついていくにつれて、複雑なピラミッドに挑戦しましょう!
この練習を繰り返して、伝わる文章を書ける人になりたいですね。
おわりに
「考える技術・書く技術【入門】」はここで終わりです。
次は「ストーリーとしての競争戦略」という名著を複数の企業目線から紹介していきます。