9segsというフレームワークについて

2026/04/12

マーケティング
西口一希
9segs

9segsというフレームワークについて

1.9segsとは何か

9segsは、市場の全消費者を「自社ブランドを知っているか」「買っているか」「次に買う意向があるか」という基準で9つに分解したものです。

2つの評価軸

  • 行動データ: 購入頻度や利用経験(ロイヤル、一般、ライト、離反、未認知など)。
  • 心理データ: 次回購買意向(ブランド選好度)。「次もこのブランドを買いたいか」という心理状態。

9つのセグメント内訳

大きく「既存顧客(5層)」と「見込み客(4層)」に分かれます。

既存顧客(5つのセグメント):

    1. 積極ロイヤル顧客:高頻度で利用し、次も買いたいと強く思っている(最強の支持層)。
    1. 消極ロイヤル顧客:高頻度で利用しているが、習慣や惰性であり、他への乗り換えの可能性がある。
    1. 積極一般顧客:中・低頻度だが、ブランドへの好意度は高い。
    1. 消極一般顧客:中・低頻度で、ブランドへのこだわりも薄い。
    1. 離反顧客:かつて利用していたが、今は利用しておらず、再利用意向も低い。

見込み客(4つのセグメント):

    1. 認知・未購買(積極):知っていて興味はあるが、まだ買ったことがない。
    1. 認知・未購買(消極):知っているが、買うつもりはない。
    1. 未認知(積極):存在を知らないが、コンセプトを提示すれば「欲しい」と言う層。
    1. 未認知(消極):存在を知らず、ニーズも合致しない層。

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なぜ画期的なのか

従来のマーケティング手法が抱えていた「行動と心理の乖離」を解消した点に革新性があります。

① 「売上の先行指標」を可視化した

売上は「過去の結果」ですが、次回購買意向(心理)は「未来の売上」を示唆します。9segsは、今の売上が「消極的な顧客」に支えられているのか、「積極的な顧客」に支えられているのかを判別できるため、将来の失速や成長を予測できます。

② 組織内の共通言語化

経営層、マーケター、営業、商品開発が、バラバラの指標(認知度、満足度、PVなど)ではなく、「どのセグメントをどこに移動させるか」という共通の地図(9segs)を見て議論できるようになります。

③ 投資判断の明確化

「認知向上」に投資すべきか、「ロイヤル顧客の維持」に投資すべきかを数値(人数と売上インパクト)で算出できるため、マーケティング投資のROI(投資対効果)を飛躍的に高めることができます。

9segsを運用する上での重要なポイント3選

9segsを単なる分類で終わらせず、成果に繋げるために重要なポイントは以下の3点だと考えています。

ポイント1:N=1 の分析との連動

9segsでセグメントを分けた後、それぞれのセグメントを代表する「特定の1人(N=1)」に対して徹底的なインタビューを行います。

  • なぜ重要か:統計データだけでは「なぜその人がロイヤル化したのか」「なぜ離反したのか」という独自便益(ベネフィット)と独自化(独自性)の鍵が見えないためです。

  • 実行内容: 積極ロイヤル顧客のN=1から「選ばれる理由」を見つけ出し、それを他のセグメントに横展開する施策を打ちます。

ポイント2:セグメント間の「移動」をKPIにする

単に各セグメントの人数を把握するのではなく、時間の経過とともに顧客がどう移動したかを追跡します。

  • 成功の定義:「認知・未購買(積極)」から「一般顧客」へ、「消極一般」から「積極ロイヤル」へ移動させるためのスイッチ(きっかけ)を特定すること。

  • 施策の最適化:全員に同じ広告を打つのではなく、セグメント移動のボトルネックを壊すための専用施策を投入します。

ポイント3:心理的価値の定量化

9segsの最大の特徴は、感情や愛着といった曖昧な「ブランド力」を、次回購買意向という数値を通じて売上ポテンシャルとして定量化したことです。

  • 構造的メリット:「心理的に選ばれている(積極層)」の割合が増えれば、将来の広告コストを下げても売上が維持できる「強いブランド」であることが証明されます。これにより、短期的な販促だけでなく、中長期的なブランディングの妥当性を証明することが可能になります。

まとめ

9segsは、一部のロイヤル顧客が体験した『選ばれる理由』を抽出して、それを未認知・未購買の層にまで届く「再現可能な仕組み」に昇華させるための、顧客心理を構造化するための技術だなと思いました。自分が取り組んでいる事業などにも盛り込みながら良い売り上げを伸ばしていこうと思います。


今回はここまでです。