こんにちは。
最近の Web 開発は「AI がコードを書く」だけでは物足りなくて、ドキュメントを読み、ブラウザを操作し、CI を見て……と実務の周辺まで面倒を見てほしくなります。
そんなとき頼りになるのが MCP(Model Context Protocol)。
生成 AI と外部ツールの橋渡しをする標準で、エージェントに安全かつ再現性のある “手足” を生やせます。
Chrome 公式ブログでも「DevTools の力を AI エージェントに持ち込める」仕組みとして紹介されており、旧来の「AI は環境が見えない」という課題を一気に解消してくれました。(Chrome for Developers)
この記事では、私が Web 開発でよく使う MCP サーバーを 5 つに絞って紹介します。どれも実務で役立ったものばかりです。
MCP を選ぶときの視点
- 何を補強したいか? ドキュメント、決済、ブラウザ、リポジトリ、E2E……用途を絞ると導入が楽になります
- 導入が簡単か?
npxで動かせるか、リモート接続で済むかをチェック - 安全に使えるか? OAuth や権限分離が整っているか、監査ログを残せるかを確認
では、具体的に 5 つの MCP を見ていきましょう。
1. Context7 ─ “最新版ドキュメント”を AI に注入する
モデルの学習データはどうしても古くなります。Context7 は Upstash が提供する MCP で、React や Next.js など人気ライブラリの最新ドキュメントやコード例を即座に AI のコンテキストに流し込むことができます。プロンプトに use context7 と添えるだけで、幻の API を提案されるリスクがグッと下がりました。(GitHub)
最小セットアップ
{
"mcpServers": {
"context7": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@upstash/context7-mcp", "--api-key", "YOUR_API_KEY"]
}
}
}
HTTP 経由での接続や VS Code / Cursor 用サンプルも公開されています。(GitHub)
どんな場面で効く?
- 新しい Next.js App Router の書き方を確認したいとき
- 「この API の現行ベストプラクティスをコード付きで」というリクエスト
use context7を添えて“確信度の高い回答”をもらいたいとき
2. Stripe MCP ─ 決済運用をチャットで回す
Stripe 公式の MCP サーバーに接続すると、顧客や支払い、請求、サブスクなどの API を自然言語から操作したり、ドキュメントやサポート記事を検索させたりできます。OAuth で権限を細かく絞れる点も安心です。(docs.stripe.com)
最小セットアップ
{
"servers": {
"stripe": { "type": "http", "url": "https://mcp.stripe.com" }
}
}
CLI 用やローカル実行(@stripe/mcp)の手順、利用可能ツール一覧も公式ドキュメントに揃っています。(docs.stripe.com)
どんな場面で効く?
- 「テスト顧客を作って、直近の支払い一覧をまとめて」と頼む運用タスク
- 実装中に「支払いリンクを作る手順」を確認し、そのまま API コールを生成
- 権限を絞ったキーで安全に運用しつつ、情報システムや CS チームも同じ導線を持てる
3. Chrome DevTools MCP ─ AI がリアルなブラウザでデバッグ
chrome-devtools-mcp を入れると、AI が実際の Chrome を開き、ネットワーク・コンソール・DOM・CSS・パフォーマンスを直接操作できます。CORS やレイアウト崩れの調査、LCP のトレース取得といった“画面を見ないと分からない”作業を任せられるのが快感です。(Chrome for Developers)
最小セットアップ
{
"mcpServers": {
"chrome-devtools": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "chrome-devtools-mcp@latest"]
}
}
}
ヘッドレス起動や既存ブラウザへの接続 (--browser-url=...) などオプションも豊富。README には最初に試したいプロンプト例がまとめられています。(GitHub)
どんな場面で効く?
- 「
localhost:8080の画像が時々表示されない」を調査→ネットワーク/コンソールから CORS を特定 - レイアウト崩れが起きたページで DOM/CSS を点検し、修正案まで出してもらう
- LCP のトレースを取り、ボトルネックの指摘と改善案を同時に受け取る
4. GitHub MCP ─ リポジトリ運営をエージェント化
GitHub 公式の MCP は、リポジトリの読み書き、Issue/PR の作成・更新、Actions の監視、依存の分析などを AI に任せられる強力なサーバーです。リモート(OAuth)とローカル(Docker/バイナリ)どちらでも動きます。(GitHub)
最小セットアップ(VS Code の例)
{
"servers": {
"github": { "type": "http", "url": "https://api.githubcopilot.com/mcp/" }
}
}
ツールセットを --toolsets repos,issues,... のように絞れるほか、PAT と OAuth を場面で使い分けられます。(GitHub)
どんな場面で効く?
- 「
/api直下を触るオープン PR だけ列挙して要約して」とお願いするレビュー前の情報収集 - バグ報告 Issue をテンプレで起票 → 関連 PR 作成 → レビュー観点まで一気通貫で任せる
- CI の失敗ログや Dependabot アラートの要約を毎朝 Slack に流す
5. Playwright MCP ─ E2E テストを自動生成・実行
Microsoft が提供する Playwright MCP は、ブラウザ操作と E2E テストの生成・実行を AI に任せられるサーバーです。npx @playwright/mcp@latest で導入でき、既存タブへの接続や --isolated でのセッション分離、--storage-state でのログイン状態再利用など、現場で嬉しいオプションが揃っています。(GitHub)
最小セットアップ
{
"mcpServers": {
"playwright": {
"command": "npx",
"args": ["@playwright/mcp@latest"]
}
}
}
どんな場面で効く?
- 新機能を実装した直後に「このユーザーフローの E2E を書いて実行、結果をまとめて」と依頼
- ログインが必要なテストを、ストレージ状態を渡して即走らせる
- 既存のログイン済みタブに接続し、手元ブラウザの状態をそのまま流用する
まとめ ─ AI に“現場のコンテキスト”を渡すだけで変わる
- Context7:最新版ドキュメントを注入してコード回答の確度を高める (GitHub)
- Stripe MCP:決済運用をチャット経由で安全に回せる (docs.stripe.com)
- Chrome DevTools MCP:ブラウザ調査とパフォーマンス計測を自動化 (Chrome for Developers)
- GitHub MCP:Issue/PR/CI など開発運営をエージェント化 (GitHub)
- Playwright MCP:E2E テストを生成・実行し、結果まで報告してくれる (GitHub)
MCP は“AI 用の USB-C”という比喩が本当にしっくり来ます。まずは 1 つ導入して、プロンプトに現場のデータや操作を添えてみてください。AI のアウトプットが一段と実務寄りになり、開発の安心感が劇的に変わります。
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